お知らせ説明会を兼ねたセミナーの収録動画を、お届けしています▶ 収録動画を受け取る
YouTube解説2026年10月10日

OpenAI売上200億ドル下振れでAI株急落、AIバブル崩壊の始まりか?5年後・10年後の目で読む

10月8日、OpenAIの売上が「これまで言われていたより200億ドル少ない」という報道をきっかけに、アメリカのAI株が一斉に下がりました。「AIバブル崩壊の始まりか?」という声が広がるなか、200億ドルはどこへ消えたのか、AIのお金の流れが5年後・10年後にどうなっていくのかを考えます。

10月8日に何が起きたのか?

10月8日、アメリカのAI株が一斉に下がりました。きっかけは、イギリスの経済紙フィナンシャル・タイムズの1本の記事です。OpenAIは出資を検討する投資家に、年間の売上ペースが「500億ドルに近づいている」と伝えた、という内容でした。

ところが市場では、それまで「約680億〜700億ドル」という数字が出回っていました。その差はおよそ200億ドル。日本円で3兆円近い開きです。「OpenAIの売上は、これまで言われていたより200億ドル少ない」という受け止めが一気に広がり、「AIバブル崩壊の始まりか?」という声があちこちで聞かれるようになりました。

株価の反応を見ると、ナスダック総合指数は−1.25%で、8月中旬以来の下げ幅でした。AI向けの計算力を貸すCoreWeaveは約−8%、OpenAIと大型のクラウド契約を結ぶOracleは−5.5%、OpenAI向けの半導体を手がけるBroadcomとAMDは約−4%、AI半導体の最大手NVIDIAは−2.9%です。

注目してほしいのは、下げ方の順番です。OpenAIへの依存が大きい会社ほど、大きく下がっています。

200億ドルは、どこへ消えたのか?

結論から言うと、200億ドルは消えたのではありません。数え方が違っていたのです。

Anthropic(Claudeの会社)は、AmazonやGoogleのクラウド経由で売れた分も、売上の総額で数えています。一方のOpenAI(ChatGPTの会社)は、パートナー経由の分は自分の取り分だけを数えます。投資家たちはライバルのAnthropicと横に並べて比べようとして、OpenAIの数字を総額ベースに引き直していました。それが680億〜700億ドルという数字です。OpenAI自身の数え方に戻すと約500億ドル。だから「200億ドル少ない」になりました。

そしてOpenAIは同時に、売上ペースが7〜9月期に前の年より77%伸びたこと、企業向けは107%伸びたことも伝えています。下がったのは「数え方」であって、「伸び」ではないのです。

ここで大事なのは、「年間売上ペース」という数字の性格です。これは直近の売上を1年分に引き延ばした見込みの数字で、決算書の売上でも、手元に入った現金でもありません。数え方ひとつで、何兆円も変わります。

なぜここまで売られたのか? 上流と下流の開き

伸びは変わっていないのに、株は大きく下がりました。理由は、市場がずっと気にしていた1つの問いに、この記事が触れたからです。「AIに注ぎ込んでいるお金は、本当に回収できるのか?」という問いです。

お金の流れを上流と下流に分けて並べてみます。上流は、AIの会社の売上です。OpenAIの約500億ドルとAnthropicの約650億ドルを足して、売上ペースは約1,150億ドル。下流は、Microsoft・Alphabet・Amazon・Metaの4社が2026年に見込む設備投資で、合計は約7,000億ドルです。

もちろん、この設備投資はAI会社2社のためだけではありません。検索、広告、クラウド、自社のAIにも使われますし、数え方も各社で違います。それでも、上流と下流には6倍ほどの開きがあります。

この開きを、何年で埋められるのか? これが、AIバブルかどうかを決める本当の問いだと僕は考えています。

AIのお金が流れる4つの段

ここで、AIのお金の流れを4つの段に分けて考えます。比べるときに、段を混ぜないことが大事だからです。

1段目は、お金を払う人・企業です。ChatGPT・Claude・Copilot・Geminiの利用者がここにいます。2段目は、AIを作って売る会社で、OpenAIとAnthropic(どちらも非上場)。3段目は、計算する場所を貸す会社で、Microsoft・Google・Amazon・Oracle・CoreWeave。4段目は、半導体を作る会社で、NVIDIA・Broadcom・AMDです。

お金は1段目から4段目へ、上から下へ流れます。ところが今は、下の段が「将来この金額で借ります」という約束を頼りに、先に巨額の設備を作っています。たとえばOracleは、OpenAIと5年で約3,000億ドルの計算力の契約を結んだと報じられています。2027年から始まる契約です。

上の段の売上が予定どおり伸びなければ、この約束が揺らぎます。10月8日に大きく下がったのは、この「約束に頼っている度合い」が大きい会社でした。

同じ「AI株」でも、立場はまったく違う

3段目の会社は、2つに分けて見ることができます。

1つは、自分の客と現金を持つ会社です。MicrosoftにはOffice・Windows・クラウドの企業客がいます。Alphabetには検索とYouTubeの広告、クラウドがあります。Amazonには通販と世界最大級のクラウドがあり、Metaは広告で稼ぎ、自社のAIのために設備を使います。AI会社が1社つまずいても、本業の稼ぎで設備を使い回せます。

もう1つは、大口の約束に頼る会社です。OracleはOpenAIとの大型契約を抱え、借入でも資金を集めています。CoreWeaveは計算力の貸し出しが本業です。大口の相手の売上が予定を下回ると、計画全体が揺れます。

5年、10年で考えるとき、僕がいちばん重く見るのは、その会社が自分の客と、自分の現金を持っているか? という点です。

今のAIは、2000年のネットバブルと同じなのか?

「AIバブル」と聞くと、多くの人が2000年のネットバブルを思い出します。あのとき、インターネットそのものは消えませんでした。むしろ、その後の20年で世界を作り変えました。

消えたのは、売上より先に設備や期待を積み上げすぎた会社です。そして生き残った会社は、バブルの後にもっと大きくなりました。

AIも同じかもしれません。技術そのものは本物です。問題は、どの会社が「開き」を埋めるまで持ちこたえられるか? という点にあります。

5年後、10年後をどう見るか? 強気と弱気

強気の見方から整理します。OpenAIの売上ペースは77%増、企業向けは107%増で、数え方が変わっても伸びは本物です。AIが「答える道具」から「代わりに働く秘書」に変われば、企業が払う金額は大きく増えます。大手4社は本業で稼いでおり、AIに投資し続ける体力があります。計算力が足りない状態も、まだ続いています。

一方で、弱気の見方もはっきりあります。上流の売上と下流の設備投資には約6倍の開きがあります。OpenAIの上場は2027年にずれ込み、資金集めは投資家頼みです。大口の約束に頼る会社は、相手がつまずくと連鎖して揺れます。そして米国の長期金利は5%台で、借りて作る設備の重さが増しています。

どちらに転ぶかは、今日の時点では誰にも分かりません。ただ、1つ言えることがあります。仮に開きが埋まるのに時間がかかっても、自分の客と現金を持つ会社は、その時間を耐えられます。約束に頼る会社にとっては、その時間そのものがリスクになります。

5年後、10年後に企業価値を大きくしているのは、AIの話題の中心にいる会社ではなく、AIのお金が最後に落ちる場所を自分の力で押さえている会社だと、僕は考えています。

次の決算で見る3つの数字

10月下旬から、大手各社の7〜9月期の決算が出そろいます。僕は、次の3つを見ます。

1つ目は、クラウドの伸び率が落ちていないか? です。Microsoft・Google・Amazonのクラウドが伸び続けていれば、1段目のお金は本当に増えています。2つ目は、設備投資の見通しを、さらに上げるのか? 下げるのか? です。上げるなら各社はまだ需要に自信があり、下げるなら開きを意識し始めた合図です。

3つ目は、Anthropicの上場で本当の数字が出るか? です。11月の中間選挙後の上場が報じられています。上場すれば、AI会社の売上と赤字が、決まった数え方で公開されます。

まとめ

10月8日の下げは、OpenAIの伸びが止まったからではありません。売上の数え方が明らかになり、「AIに注ぎ込むお金は回収できるのか?」という問いに、市場が改めて向き合ったからです。

AIのお金は、使う人、AIの会社、計算する場所、半導体の4段を流れています。今は下の段が、上の段の約束を頼りに先に巨額の設備を作っています。だから見るべきは、AI株をひとまとめにした値動きではなく、どの段にいて、自分の客と現金を持っているか? という点です。

今日の下げに一喜一憂するのではなく、決算のたびに、この開きが縮んでいるのか、広がっているのかを確かめていく。それが、AIの時代を資産運用に生かす、いちばん確かな方法だと僕は考えています。詳しい話は上の動画でお話ししています。

AIに最初に渡す「判断基準シート」を、LINEで無料でお渡ししています。

LINEで受け取る

BLOG

孔明の話 新しい記事

記事をすべて見る →

上部へスクロール