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AIで仕事を変える2026年10月22日

定型作業の手順書、AIに直させる時代へ。今日試せる3つの指示文

手順書を人が直し続ける時代は、終わりに向かっています

手順書は人が書いて、人が直す。この手間に時間をかける時代は、終わりに向かっています。

最近、X で保存数が特に多い話題があります。Googleの研究チームが、AIエージェントを改善していく枠組みをオープンソースで公開した、という話です。AIエージェントとは、指示を受けたあと自分で段取りを組みながら作業を進めるAIのことです。オープンソースは、誰でも無料で中身を見て使える形を指します。

中身をひと言で言うと、AIが作業のたびに、自分の土台になる仕組みを作り直して良くしていく、というものです。この土台は「ハーネス」と呼ばれています。馬につける引き具のように、AIをどう動かすかを決める枠のことです。

僕が注目したのは、技術の細かさではありません。大手が「AIが自分の動かし方を直していく」技術を、無料で出してきたという事実です。AIに答えを出させる段階から、AIにやり方そのものを磨かせる段階へ。流れが動いている合図だと、僕は受け取りました。

とはいえ、40〜50代の経営者が明日からこの枠組みを自分で動かす必要はありません。エンジニア向けの道具です。僕自身、エンジニア経験はゼロです。

では、この話から何を持ち帰ればいいのでしょうか?

多くの会社がつまずいているのは、ここです。AIに定型作業を頼んではいる。ところが、その頼み方を書いた手順書は、最初に作ったまま放ってある。うまくいかない日があっても、人が気づいて直すまで、同じつまずきがくり返されます。

最新の技術が示している方向は、「手順を見直す役目そのものを、AIに渡してよい」ということです。それなら、大がかりな仕組みを待たなくても、同じ考え方を手元で今日から試せます。この記事では、その考え方と、コピーして使える指示文を3つお渡しします。

なぜ「手順を直す役目」までAIに渡せるのか?

講義の第1回で、受講生に自分の現在地を確かめてもらう問いがあります。「AIに質問したことがある」「複数のAIを使い分けている」「自動で動いている作業がある」。これを順に自分に聞いていき、Yesが続いた最後のところが、いまの段階です。

僕はAIの使い方を、レベル1から5に分けて話しています。レベル1・2は、聞く、一緒に作る。レベル3から5は、任せる、連携させる、自律させる。この2つのあいだには、大きな段差があります。

特にレベル3から4に上がるときの壁は、「個人の効率化」から「組織設計」への切り替えです。自分の手が速くなる話ではなくなります。誰が、どの順番で、何を基準に動くかを決める話に変わります。

ここで手順書が効いてきます。僕はAIに渡すものを3段で考えています。一番上に、目的や判断の基準。次に、仕事や商売の前提。最後に、うまくいったやり方をまとめた型、つまり手順書です。

上の2段は、経営者が自分で決めるものです。会社の判断の基準を、AIが勝手に書き換えてはいけません。一方で、一番下の型は違います。作業をくり返すほど、「ここで毎回止まる」「この順番のほうが早い」という発見がたまっていきます。その発見を手順書に戻す作業は、AIが得意とするところです。

Googleの枠組みがやっているのも、根っこは同じです。作業の結果を見て、自分の動かし方を直す。それを人の手でなく、AIの側で回す。

「AIは、使うものではなく、育てるもの」と、僕は講義でくり返し伝えています。手順書をAIに見直させるのは、まさに育てる作業の一部です。使い捨ての頼み方を毎回書くのではなく、頼み方そのものが少しずつ賢くなっていく。そこに、レベル3から上へ進む入口があります。

ただし、任せきりにはしません。直した案は必ず人が見て、通すかどうかを決める。この一線が、次の手順の土台になります。

今日そのまま試せる、手順書の見直し方

大がかりな準備はいりません。次の4つの手順で進めます。

手順1は、作業を1つだけ選ぶことです。消えても困らない、失敗しても痛くない定型作業から始めてください。毎週の報告のまとめ、ファイルの整理、メールの下書きなどです。お金や取引先に関わる作業は、最初は外します。

手順2では、その作業でAIに渡している指示文や手順書を、そのまま貼り付けて見直しを頼みます。

指示文1(見直しの依頼)
「次の手順書は、私が定型作業をあなたに頼むときに使っているものです。この手順のまま作業すると、どこでつまずきやすいか、どこが曖昧かを挙げてください。そのうえで、直した手順書の案を作ってください。目的と判断の基準の部分は変えないでください。」

手順3は、いきなり差し替えないことです。講義の第1回で、ファイル名を一括で変えるときは「変更前後の対照表を作成してから実行してください」と足す、という話をしました。手順書も同じ考え方で扱います。

指示文2(対照表を出させる)
「直した案を採用する前に、変更前と変更後を並べた対照表を作ってください。各行に、なぜ変えたのかの理由を一言添えてください。私が確認するまで、手順書は書き換えないでください。」

表を見て、気になる行だけ直してから採用します。こうしておけば、元のやり方を失いません。古い手順書は削除せず、別のフォルダへ移動しておくと安心です。

手順4は、作業のたびに振り返りを足すことです。これが、AIが自分の動かし方を直していく流れを、手元で小さく再現する部分になります。

指示文3(作業後の振り返り)
「作業が終わったら、今回つまずいた点と、手順書で直したい箇所を3つまで挙げてください。直す案は対照表の形で出し、私の確認が済むまで反映しないでください。」

1週間続けると、手順書の直したい箇所が少しずつたまっていきます。週に1回、その表を見て通すかどうかを決める。経営者の仕事は、それだけです。

できないことも知ったうえで、僕ならこうします

正直に書いておきます。AIに手順書を見直させても、出てくる案がいつも正しいとは限りません。もっともらしい理由を添えて、大事な確認の手順を省いてくることもあります。だから対照表を出させ、人が通すかどうかを決める形にしています。

もう一つ、注意があります。今回の話で「手順書を人が直す時代は終わる」と言えるのは、小さな定型作業の範囲です。お金の動き、取引先とのやり取り、社員の評価のように、間違いが大きな損につながる仕事には向きません。そうした仕事の手順を、AIの判断だけで書き換えさせるのは早すぎます。

Googleの枠組みそのものも、いまの時点では技術者が触る道具です。経営者が自分で入れて動かすものではありません。知っておくことと、自分で使うことは分けて考えてください。

それでも、この流れを知っておく価値は大きいと、僕は考えています。手順書を書いたまま放っておく会社と、手順書が毎週少しずつ賢くなる会社。1年たったとき、AIに任せられる仕事の幅は、まるで違ってくるはずです。

僕はエンジニア経験ゼロのまま、自分で設計図を書いて、48時間でAI経営本部を組み上げました。そのとき痛感したのは、道具の知識より、やり方を言葉にして残すことのほうが効く、ということです。言葉にした手順があるから、AIに見直しを頼めます。手順がなければ、見直しようがありません。

僕なら、今週は定型作業を1つだけ選びます。いまの手順書をAIに見せて、つまずきやすい箇所を挙げさせる。直した案は対照表で受け取り、気になる行を直してから差し替える。古い版は消さずに移動しておく。そして作業のたびに、振り返りを3つまで出させる。

大手が無料で道を示してくれた今、僕らがやることは小さくて構いません。公開した研究チームには、素直に感謝しています。あなたの会社なら、最初にどの手順書をAIに見直させますか?

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