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YouTube解説2026年10月26日

ハンドルもペダルもない無人タクシーで年3万ドル稼げる? テスラ決算で見えた、本当に儲かるのは誰? 5年後・10年後を考える

寝ている間に、車が勝手にお客さんを乗せてお金を稼いでくる。テスラのイーロン・マスク氏は、無人タクシーをそんな「稼ぐ車」として語ってきました。米国株を長期の資産運用として続けている僕の目で、10月21日の決算を材料に、ハンドルもペダルもないサイバーキャブと、テスラの5年後・10年後を考えます。

この記事の結論

結論を先に3つお伝えします。1つ目。サイバーキャブに乗った人がまず驚くのは、拍子抜けするほど普通に走ることです。

2つ目。運賃と儲けは別物です。決め手は、1日に何回お客さんを乗せられるかです。

3つ目。いちばん稼ぐ立場にいるのは、仕組みを持つテスラです。

そして、テスラの5年後・10年後を決めるのは、今の利益より、現実の世界で動くAI、フィジカルAIの進み具合だと僕は見ています。

10月21日の決算で見えたこと

今回の決算の売上は280億ドルで、1年前とほぼ同じでした。営業利益は16億ドルから7億ドルに減りました。AIの研究開発などで、営業費用が34億ドルから48億ドルにふくらんだためです。

ただ、決算の資料を開くと、目を引くのは地味な車の話です。運転手なしで走った距離は、9月末までの合計で約200万マイル。3か月前の8倍です。テキサス州オースティンのサイバーキャブは、10月10日に300台を超えたとテスラは発表しています。運転手のいないモデルYのロボタクシーは、7月の時点でテキサスとフロリダの6つの都市で走っています。

ハンドルもペダルもない車に乗ると?

サイバーキャブは、テスラが無人タクシー専用に作った2人乗りの車です。9月3日から、オースティンでお客さんを乗せ始めました。声で頼めば、AIが音楽や動画を流し、予定やメールの整理まで手伝います。テスラは決算の資料で、この車の中を「2つ目の居間」と呼んでいます。

最初に乗った人の一人は「信じられない体験なのに、乗っている分には、拍子抜けするほど退屈だ」と話しました。無人の運転は、何も起きないことが、いちばんの成功なんです。

1台で年3万ドル、本当に稼げる?

2019年、マスク氏はロボタクシー1台が年に3万ドルほど稼ぎうると話しました。2024年の発表では、サイバーキャブの値段は3万ドルを切る、と話しています。

ところが、運賃はそのまま持ち主の儲けにはなりません。まずテスラが取り分を取ります。マスク氏は25〜30%ほどと話していました。残りから、電気代、保険、掃除、タイヤや修理の費用を払います。

いちばん大きいのは、お客さんのいない時間です。次のお客さんを探して空のまま走る間は、お金が入りません。稼げるかを決めるのは、運賃の高さより、1日に何回乗せられるかです。

みんなが稼げば、誰も稼げない

アメリカで多くの人がうなずいた言葉があります。「みんなが100万ドル稼げるなら、誰も100万ドルは稼げない」。簡単に儲かるなら参入が増え、車が増えれば運賃は下がります。最後に残るのは、何百台も持つ会社です。

そして、どの持ち主の車も、テスラのアプリとルールの上でしか走れません。取り分を決めるのも、走れる場所を決めるのも、テスラです。だから僕は、いちばん稼ぐ立場にいるのは仕組みを持つテスラだと見ています。

先頭はウェイモ。テスラの堀はデータ

ただし、無人タクシーでいま先頭にいるのは、アルファベットのグループのウェイモです。今年3月、アメリカの10都市で週に50万回の乗車を運んでいます。2024年5月は週5万回でしたから、2年足らずで10倍です。

ウェイモは普通の車に高価なセンサーを積み、街を1つずつ広げてきました。テスラは、世界中を走る何百万台もの車から運転のデータを集めています。運転を助けるソフトの有料の利用は、1年で104万件から174万件に増えました。この現実の世界のデータは、お金を積んでもすぐには集められない、テスラの堀です。

越えるべき壁:規制、量産、オプティマス

1つ目の壁は規制です。アメリカのルールは、車にハンドルとペダルがある前提で作られています。車の安全を担当する役所は、サイバーキャブが安全基準をどう満たしたのか、21の質問に10月30日までに答えるよう求めたと報じられています。

2つ目は量産です。1月の資料では今年大量生産すると書いていましたが、今回の決算でも時期は示されていません。生産の上限を決めているのは、今も電池だと説明しています。

もう1つの柱、人型ロボットのオプティマスも、量産ラインが動き始めたとは書かれたものの、台数の数字はありません。年100万台のペースに届くまで少なくとも1年はかかると話したと伝えられており、約束から見れば、はっきり遅れています。

テスラの5年後・10年後

5年後、2031年ごろ。僕は、サイバーキャブがアメリカのいくつもの都市を走っていると見ています。ただし、それには規制と電池の壁を越える必要があります。

10年後、2036年ごろ。テスラの価値を決めるのは、車の台数ではなく、無人タクシーとオプティマスという2つのフィジカルAIだと見ています。成功すれば、テスラは「車を売る会社」から、移動と働き手を売る会社に変わります。逆に、フィジカルAIで成功しなければ、テスラは大きくは伸びない。僕はそう見ています。

強気の見方と弱気の見方

強気の見方です。運転手なしの距離は3か月で8倍。データの堀は広がり続けています。手元の資金は454億ドルで、自由に使える現金も15億ドルの黒字に戻りました。

弱気の見方です。先頭はウェイモ。営業利益は1年前の半分以下で、設備投資は47億ドルと1年前の2倍を超えました。車の納車は48万6,000台あまりで2%減。1台がいくら稼ぐのか、テスラはまだ数字を示していません。

僕の見立てが崩れるのは、大きな事故で営業が止まったとき、ハンドルのない車の台数が厳しく制限されたとき、無人で走る距離の伸びが止まったとき、オプティマスが次の決算でも台数を示せないときです。

まとめ

テスラの無人タクシーを見るための数字は4つです。1台が1日に何回お客さんを乗せているか? 1回の乗車でいくら入るか? 1マイル走るのにいくらかかるか? お客さんを乗せずに止まっている時間はどれくらいか?

無人タクシーは、台数より稼ぐ仕組みで見る。そしてテスラは、今の利益より、フィジカルAIの進み具合で見る。動画では、サイバーキャブの乗り心地やウェイモとの違いを、僕の言葉でさらに詳しくお話ししています。あわせてご覧いただくと、より深く分かります。

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