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Gemini 4 Argonで、お客様向け説明図1枚を作る前にやること

「3日で25兆」の熱気と、手元の仕事との距離

新しいAIが出るたびに、タイムラインは同じ熱を帯びます。今回話題の中心にあるのは、Googleの新しいモデル「Gemini 4 Argon」です。公開から3日で、約25兆トークンが処理されたと伝えられました。トークンとは、AIが文章を読み書きするときの小さな単位のことです。ざっくり言えば、それだけ多くの人と会社が一斉に触った、ということになります。

数字だけではありません。公開されているデータを組み合わせて、画面の上で動かして見られる人体の3D模型を作った例も共有されています。規模の大きさと、目に見えるデモ。この2つがそろうと、話題は一気に広がります。

ただ、ここで一度立ち止まりたいのです。AIは触った。でも、仕事は何も変わっていない。そう感じている40〜50代の経営者は少なくないはずです。新しいモデルの名前を覚え、デモを見て感心し、翌日はいつもの仕事に戻る。その繰り返しでは、モデルがどれだけ賢くなっても、手元の売上表や見積書は1行も変わりません。

では、人体の3D模型を見た経営者が、今日やるべきことは何でしょうか?

僕の答えははっきりしています。派手なものを真似しない。自社の資料から、お客様向けの説明図を1枚だけ作ってみる。これです。

なぜ今それが大事なのか?新しいモデルが出た直後は、誰もが「何ができるか」を試している時期です。この時期に「自分の仕事で何が変わるか」を1つ確かめた人と、デモを眺めて終わった人。その差は、あとから大きく開いていきます。しかも説明図1枚なら、うまくいかなくても失うものはほとんどありません。

この記事では、その1枚を作る前に決めておくことと、そのまま使える指示文をお渡しします。

派手なデモほど、自社では再現しにくい理由

人体の3D模型の例には、見落とされやすい点があります。材料が「公開データ」だったことです。形や位置関係がすでに整理された情報があったからこそ、AIはそれを組み合わせて、動く模型にできました。

自社の説明図は、事情が違います。サービスの流れ、料金の決まり、お客様からよく聞かれる質問。こうした中身は、ネットのどこにも整った形では置かれていません。社内の資料、メールのやり取り、社長の頭の中に散らばっています。材料が足りないまま「わかりやすい図を作って」と頼めば、AIは空いたところをもっともらしい推測で埋めます。社内用のメモなら笑って直せるでしょう。しかしお客様に見せる図に、ありもしない料金や手順が入っていたら、信用に関わります。

ここで役に立つのが、『レベルファイブAI経営マスタリー』第1回の講義で扱った、ファイル名の一括リネーム(名前の付け直し)の手順です。名前の変更をAIにまとめて頼むとき、「変更前後の対照表を作成してから実行してください」と一文を足す。先に表を出させ、気になる行だけ直してから実行すれば、元の名前を失わずに済みます。

説明図も、同じ形で考えられます。いきなり図を作らせない。まず「図のこの部分は、資料のどこから取ったのか」という出どころの対照表を出させる。表の段階なら、間違いは1行直すだけで片づきます。

もう1つ、同じ第1回で話したAI活用のレベルも重ねておきます。質問する、一緒に作る、任せる、連携させる、自律させる。説明図を一緒に作るのは、まだ手前の段階です。講義では、レベル3から4への壁を「個人の効率化」から「組織設計」への転換だとお伝えしました。最初の1枚は個人の効率化で構いません。ただ、その1枚を、社員の誰が作っても同じ品質になる手順にできるか?そこが次の壁を越える入口になります。

今日そのまま試せる、説明図1枚の5つの手順

手順は5つです。

1. 題材を1つに絞ります。お客様によく聞かれる質問を1つだけ選んでください。例えば「申し込んでから届くまで、何が起きるのか?」のような問いです。
2. 材料をそろえます。その質問に答えるときに使っている社内資料を2〜3点用意します。お客様の名前や連絡先など、個人の情報は消してから渡します。
3. 下の指示文を、資料と一緒にGeminiに渡します。
4. 出てきた対照表を読み、出どころが「資料にない」となった行に印を付けます。そこは自分で書き足すか、図から外します。
5. 直した表を返してから、図を作らせます。

コピーして使える指示文はこちらです。

あなたは、お客様向けの説明図を作る担当です。
添付した社内資料だけを材料にして、「(ここにお客様からよく聞かれる質問を書く)」に答える説明図を1枚作ります。
いきなり図を作らず、次の順で進めてください。
1. 図に入れる項目を、3列の対照表にしてください。列は「図に入れる言葉」「資料のどこから取ったか(資料名と見出し)」「資料にない場合は『資料にない』と書く」です。
2. 資料にないことは、推測で埋めないでください。
3. 表を出したら、そこで止まり、こちらの確認を待ってください。
4. こちらが直した表をもとに、専門用語を使わず、5つ以内の段階で流れが分かる図を作ってください。
5. 元の資料は削除も上書きもせず、そのまま残してください。

完成のイメージも置いておきます。例えば「ご相談→お見積もり→ご契約→準備→お届け」の5段を横に並べた流れ図です。各段の下には、お客様がすることを1行だけ添えます。お客様が見て「次に自分が何をすればいいか」が分かれば、その1枚は役目を果たしています。

ポイントは3番目の「そこで止まる」です。ここを抜くと、AIは表と図を一気に仕上げてしまい、どこに推測が混じったのかが見えなくなります。

誰に向いて、誰に向かないか?僕の判断

新しいモデルの評判は、これからも次々に流れてきます。3日で約25兆トークンという数字も、人体の3D模型も、すごいのは確かです。ただ、経営者にとっての問いは「どれだけすごいか?」ではありません。「自分の仕事の何が変わるか?」のほうです。

辛口に整理しておきます。この使い方が向いているのは、次のような方です。
・お客様に、同じ説明を何度も口でしている
・社内に資料はあるのに、図にする時間が取れない
・新しいAIを、まず小さく確かめてから広げたい

逆に、向かないのはこんな場合です。
・説明の材料になる資料が、まだ手元に1つもない
・AIが出した図を、読まずにそのまま配りたい

材料がないなら、先に要るのは図ではなく、説明の中身を書き出すことです。AIは、渡されたものからしか正しい図を作れません。

使うときの注意も3つ挙げます。お客様の名前や連絡先、社員の個人情報は、資料から消してから渡すこと。料金や期日など、間違えると困る数字は、図にする前の対照表の段階で自分の目で確かめること。そして元の資料は残しておくこと。ここを守れば、最初の1枚で大きくつまずくことは避けやすくなります。

僕はエンジニア経験ゼロのところから、AI経営本部を48時間で組み上げました。土台にしたのは、プログラムの知識ではなく、自分で書いた設計図です。新しいモデルの性能に頼る前に、何を渡すかを自分で決めておく。この順番は、説明図1枚でも変わりません。

僕なら、今日はこうします。お客様によく聞かれる質問を1つ選び、資料を2〜3点そろえ、上の指示文で対照表まで出させる。図はそのあとです。うまくいったら、その指示文を社内の共有フォルダに保存し、社員の誰が使っても同じ1枚が出るかを確かめます。新しいモデルの名前を追いかけるより、その1枚を社内の手順に変えるほうが、ずっと仕事は変わっていきます。

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