10月20日、Netflixが7月から9月の決算を発表しました。営業利益は四半期として過去最高なのに、株価は時間外の取引で約4%下がったと報じられています。明日の株価ではなく、5年後・10年後のNetflixがどうなっているのか? 決算の数字から考えます。
この記事の結論
結論を先に3つお伝えします。1つ目。Netflixの稼ぐ力は、落ちていません。むしろ強くなっています。
2つ目。市場が心配しているのは、利益ではなく「見られる時間」です。2026年の1月から6月に会員が見た時間は970億時間で、前の年と比べた伸びはわずか2%でした。
3つ目。分かれ目は、YouTubeとの時間の奪い合いで、どう伸びるかです。最後に、5年後・10年後を見る3つの物差しをお話しします。
利益は過去最高、株価は半分
今回の決算の売上は128億7,000万ドルで、前の年より12%増えました。営業利益は44億6,000万ドルで37%増。営業利益率は34.6%です。1株あたりの利益も、予想を上回ったと報じられています。
それでも株価は、去年6月の高値からほぼ半分です。実は、Netflixの株価が大きく崩れるのは初めてではありません。2021年11月から半年で、株価は約76%下がりました。会員の数が10年以上ぶりに減ったときです。そこからパスワードの共有を止め、広告付きの安いプランを始め、株価は底から約8倍になりました。
今回、何が嫌われたのか?
1つ目は、広告の見通しを下げたことです。2025年の広告の売上は15億ドルを超え、2026年はほぼ倍の約30億ドルを見込んでいました。今回、それを約27億ドルに引き下げました。広告の機能の市場投入が、少し遅れたためです。
2つ目は、10月から12月の見通しです。売上は134億ドルで、市場の予想に届かなかったと報じられています。営業利益率も26%に下がる見通しです。人員削減の費用が入るためです。
その人員削減は約1,000人、社員の約6%と報じられています。翌日には、ヒット作を率いてきたベラ・バジャリア氏が去り、ディズニーでテレビ部門を率いたピーター・ライス氏が後任になると発表されました。
AIで人を減らす道へ、切り替えたのか?
僕は、最高の人材を集め、市場で最高の給与を払うNetflixの経営は、AIの時代に強まると見ています。ただし、AIを理由に大きく人を減らす道に切り替えたら、見立てを考え直すと決めていました。
報じられた削減の理由に、AIは入っていません。Netflixは2025年に社員を14%増やし、約1万6,000人にしました。6%減らしても、2024年末の約1万4,000人より多い計算です。僕は、今回は広げた組織の立て直しだと見ています。ただ、対象がプロダクトと技術の部門中心なのは、見ておくべき点です。答えは、来年の年次報告書の社員の数に出てきます。
本当の心配は「見られる時間」
株主への手紙には「視聴時間の伸びを、投資家が心配していることは分かっている」という珍しい一文がありました。売上は12%伸びているのに、見られる時間は2%しか伸びていない。売上を伸ばしているのは、値上げと広告です。
アメリカの調査会社ニールセンによると、7月にテレビ画面で見られた時間のうち、YouTubeは14.2%と過去最高でした。Netflixは8%前後と報じられています。Netflixは作品というレンガを一つずつ買って城を建てました。YouTubeは舞台だけを作り、レンガは世界中の個人に持ってこさせました。テレビの大きな画面でさえ、王様はもうYouTubeなんです。
それでも稼ぐ力は強くなっている
ここで結論を急ぐと見誤ります。営業利益率は2024年の26.7%から2025年は29.5%、2026年は31.5%を見込んでいます。7月から9月には、四半期として過去最高の48億ドルを自社株買いに使いました。値上げをしても、解約の率は前の年より良くなりました。
見られる時間を増やす答えの一つが、ライブとスポーツです。ライブは費用の5%超を使い、見られる時間は約1%ですが、過去5年で新しい登録が多かった上位10日のうち6日がライブでした。
もう一つがAIです。大規模言語モデルでおすすめと検索を良くし、生成AIを使った作品は2026年に約300本です。ただ、AIはYouTubeで動画を作る世界中の個人の費用も下げます。武器は、相手の手にも渡るんです。
5年後・10年後を見る3つの物差し
Netflixの一番の強みは、コンテンツとテクノロジーの融合だと僕は見ています。最高の作品と最先端の技術を、世界190か国以上に届ける力です。ただし条件つきです。作業はAIに任せ、何を作るかを判断する人を、濃く集められるかどうかです。
物差しは3つです。1つ目は、年2%の視聴時間の伸びが上向くか? 2つ目は、社員1人あたりの売上です。2025年は約282万ドルでした。3つ目は、生成AIを使った作品の数と広告の広がりです。3つが上向けば、時間の奪い合いの中でもNetflixは強くなっています。下向けば、値上げに頼るだけの成長になります。
強気の見方と弱気の見方
強気の人たちは、利益率は年々上がり、現金で自社株買いを続けられる、コンテンツと技術の融合にAIという武器が加わる、と見ています。
弱気の人たちは、見られる時間の伸びは2%で、成長は値上げに頼っている、時間の奪い合いの相手は無料のYouTubeとAIで作られる動画だ、と見ています。
強気の見立てが崩れるのは、視聴時間の伸びが0%に近づいたとき、値上げのあとに解約の率がはっきり悪くなったとき、社員1人あたりの売上が伸びなくなったときです。
まとめ
Netflixは、利益は過去最高なのに、株価は高値から半分です。いちばんお伝えしたいのは、市場が見ているのは利益ではなく「見られる時間」だということです。次の決算は来年1月の見込みで、まず見るのは視聴時間と広告、そして社員の数です。
動画では、大ヒットの次が見えないというアメリカの声や、ライブの予定、AIで作った場面の話まで、もう少し詳しくお話ししています。あわせてご覧いただくと、より深く分かると思います。


