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YouTube解説2026年11月8日

オラクルは利益を出しているのに、なぜ株価は6割下落? AIの3,000億ドル契約の正体

オラクルは赤字の会社ではありません。それなのに株価は高値から約6割下がり、「借金を返せるのか」と心配されています。この辻褄の合わない話から、AIの設備を貸す会社を10年の目で見る急所を、僕の目で整理します。

この記事の結論

結論を先に3つお伝えします。1つ目。オラクルは、ソフトを売る会社から、建物と半導体を貸す会社に変わりました。

2つ目。その設備のお金は、借金と、まだ始まっていない賃料の約束で賄われています。

3つ目。答えは、6,640億ドルの受注が、本当にお金に変わるかで決まります。最後に、僕がこの会社のどこを10年見ていくかもお伝えします。

もうかっているのに、なぜ心配されるのか?

オラクルの数字を並べると、不思議なことが起きています。6月から8月の売上は193億ドルで、1年前より30%増えました。本業から入ってきたお金は230億ドル、最終的な利益は47億ドル、手元の現金も364億ドルあります。

ところが株価は、2025年9月の高値から約6割下がりました。映画「マネー・ショート」のモデルになったマイケル・バーリ氏も、オラクルの株が下がるほうに賭けたと報じられています。

答えを知るには、オラクルがどう稼いできたかから見る必要があります。

ソフトだけを売る強さと、クラウドの波

オラクルは1977年、ラリー・エリソン氏たちが作った会社です。売ってきたのはデータベースというソフトで、銀行や役所のばらばらのお客さんの情報を1か所にまとめる仕組みです。

大事なのは儲け方です。コンピューターや部屋や電気代は、お客さんが自分で払いました。オラクルはソフトだけを売っていたので、工場もいらず、同じソフトを何度でも売れました。これがオラクルの強さでした。

ところが2006年、アマゾンがクラウドを始めます。コンピューターを買わずに、電気のように時間で借りる仕組みです。エリソン氏は当時クラウドを笑い飛ばし、本格的に乗り出したのはずっとあとでした。その間に、アマゾン、マイクロソフト、グーグルがクラウドの大手になりました。

その流れは今も続いていて、6月から8月の昔ながらのソフトの売上は、1年前より3%減りました。だからオラクルは、自分もクラウドの設備を持つ側に回ったんです。

1日で株価36%、受注残の正体

2025年9月10日、オラクルの株価は1日で36%上がりました。きっかけは受注残という数字です。受注残とは、契約は結んだけれど、まだ売上になっていない注文のこと。建設会社が、これから建てるビルの契約を抱えているのと同じです。

このときの受注残は4,550億ドル。その大きな部分はOpenAIとの契約だと報じられました。5年で約3,000億ドル、始まるのは2027年からで、1年にすると約600億ドルの支払いです。これは当時のOpenAIの1年の売上を、大きく上回る額でした。

エリソン氏はこの日、一時は世界一のお金持ちになったと報じられています。まだ1ドルも受け取っていない契約で、です。今年8月末の受注残は、6,640億ドルまで増えています。

ソフトの会社が、建物と半導体の会社に

この契約で、オラクルの儲け方がひっくり返りました。AIの計算を貸すには、土地と建物と電気、そして高い半導体が要ります。昔はお客さんが払っていたものを、今度はオラクルが先に払うんです。

6月から8月の設備投資は285億ドルで、1年前の3.4倍です。本業から入ったお金を設備投資が上回り、自由に使える現金はマイナス54億ドルになりました。

こういう「先に建てて、あとで貸す」商売には、J字の曲線という決まった形があります。100ドルで建てて毎年30ドルの賃料が入るとすると、1年目はマイナス70、2年目はマイナス40。プラスになるのは4年目です。その間も、借りたお金の利息は毎月かかります。お客さんの支払いが遅れたら? 新しい半導体が出て設備が古くなったら? アメリカの投資家が心配しているのは、ここです。

借金1,250億ドルと、利息の重さ

8月末の借金は1,250億ドルです。6月から8月の利息の支払いは14億ドルで、1年前より55%増えました。さらに帳簿にまだ載っていない約束として、これから始まるデータセンターの賃借が2,880億ドルあります。期間は15年から19年です。同じ3か月に、200億ドル分の新しい株も売っています。

利息は年にすると約57億ドル、営業利益は年にすると約270億ドルです。今は利益の約2割が利息に回っています。たとえば400億ドルを7%の利息で新しく借りたら、利息は年に28億ドル増えます。そこへデータセンターの完成が遅れて利益が減ったら? 利息は決まっていて、減るのは利益のほうです。

そして6,640億ドルの受注残のうち、これから1年で売上になるのは約13%だと、オラクル自身が決算の書類に書いています。大半はまだ先の話で、お客さんの中心は、まだ利益を出していないAIの会社だと報じられています。

5年後・10年後のオラクル、強気と弱気

僕は、AIの業界の最大の問いは、投資と売上の溝だと見ています。そしてAIの計算を貸す会社の値段を決めるのは、自由に使える現金です。設備の山を越えて現金が残れば大きく伸び、越えられなければ、古くなる設備の費用が利益を削ります。

強気の人たちは、5年後の2031年ごろには受注残の多くが売上に変わり、現金がプラスに戻っていると見ています。受注残は1年で2,090億ドル増え、クラウドの設備の売上は1年で2.2倍の74億ドル。データベースという大企業の入口も握っていて、エリソン氏は9月に自分の株を売る計画を取り消しました。

弱気の人たちは、自由に使える現金のマイナスが続いていること、借金と帳簿の外の賃借の大きさ、利息の増え方を挙げます。借金の保険料にあたる数字も、10月に過去最高になったと報じられています。

10年後の2036年ごろ、最後に強いのは、半導体からアプリまで縦に長く持つ会社だと僕は見ています。オラクルが、データベースという自分の入口をAIの時代にも生かせるか? そこが分かれ目です。

見立てが崩れるのは、大口のお客さんが支払いを遅らせたり減らしたりするとき、データセンターの完成や電気の接続が遅れるとき、半導体が速く古くなるとき、利息が利益の大きな部分を食うようになるときです。

まとめ

オラクルは、もうけている会社です。でも、そのもうけを、受注残という未来に先に賭けています。

これから決算のたびに僕が見る数字は3つです。自由に使える現金がプラスに戻ること、受注残のうち1年で売上になる割合、そして借金と利息の増え方です。

動画では、J字の曲線や利息の試し方を、図を使いながらもう少し丁寧にお話ししています。あわせてご覧いただくと、AIの設備を貸す会社を10年の目で見る急所が、より深く分かると思います。

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