お知らせ説明会を兼ねたセミナーの収録動画を、お届けしています▶ 収録動画を受け取る
YouTube解説2026年11月6日

エヌビディア(NVIDIA)暴落、AIバブル崩壊? 半導体株はコロナショック以来の下げ

AIの株が一斉に売られ、エヌビディアの株価は11月5日の1日で約9%下がりました。これはAIバブル崩壊の始まりなのか? 今回なにが売られて、年単位で見るとなにが変わっていないのかを、僕の目で整理します。

この記事の結論

結論を先に3つお伝えします。1つ目。売られたのはAIの需要ではなく、データセンターを建てられるかへの不安です。

2つ目。エヌビディアは過去にも大きく下げ、そのたびに事業を伸ばしてきました。

3つ目。10年の分かれ目は、チップではなく、電力と建設の許可とお金です。最後に、エヌビディアの10年を見る3つの物差しもお伝えします。

11月5日、何が起きたのか?

この日、ナスダックは5.5%下げました。大きな会社を集めたナスダック100は、2020年3月のコロナショック以来の下げです。半導体の会社を集めた指数は1日で12%下げ、これもコロナショック以来でした。ナスダックは10月の最高値から10%を超えて下げ、「調整局面」に入っています。

AMDとマイクロンは約17%、インテルとブロードコムは約10%下がりました。エヌビディアだけで、1日に約4,500億ドルの価値が消えた計算です。

意外なのは、AMDがこの2日前に過去最高の決算を出したばかりだったことです。売上は134億ドル、前の年より45%の伸びで、リサ・スーCEOは次の3か月はさらに伸びが速くなると話していました。それでも株価は大きく下がった。つまり、売られたのは会社の今の数字ではありません。

引き金は中間選挙とテキサス

引き金は、11月3日のアメリカの中間選挙です。民主党が上院と下院の両方で多数を取りました。選挙の翌日、ダウは3%上げましたが、その次の日に空気が変わります。

注目されたのはテキサス州の知事選です。データセンターの建設をすぐに一時停止すると訴えてきた民主党のジーナ・イノホサ氏が、現職のアボット知事に勝ちました。アメリカで計画中のデータセンターの約27%はテキサス州にあると見られています。さらにバーニー・サンダース上院議員は、全国での建設の一時停止を求めています。

AIのチップは、データセンターが建たなければ置く場所がありません。市場が売ったのは、この「建てる場所」への不安です。

ただし、全国のルールを変えるにはトランプ大統領の署名が要りますし、データセンターは中国とのAIの競争や国の守りにもつながっています。ジョージア、オハイオ、ペンシルベニアでも建設は進んでいます。止まる心配があるのは、全国ではなく、州や町の単位です。

もう1つの不安、建てるお金

もう1つの不安は、建てるお金です。データセンターを借金で建てている会社の社債に、より高い利回りを求める動きが出ています。社債とは、会社がお金を借りるときに出す借用書のようなもの。利回りが上がるのは、貸す側が慎重になり始めたということです。

データセンターは、建ててから稼ぐまでに何年もかかります。その間のお金が続かなければ、チップの注文も続きません。年末を前にした利益確定の売りも重なりました。

市場の分析家エド・ヤルデニ氏は「AIバブルがはじけたのではない。空気が、とても速く抜けているところだ」と話しています。僕も、この見方に近いと考えています。

エヌビディアの過去の暴落と比べる

エヌビディアは、2018年の終わりに仮想通貨の値崩れで高値から約56%、2022年には約66%下げました。2022年の底は10月で、翌月にチャットGPTが世の中に出て、AIの計算の注文が一気に増えていきました。

2025年1月、中国のディープシークが安いAIを出したときは、1日で約17%、約5,900億ドルの価値が消えました。一つの会社として史上最大です。それでも1年後、株価は約6割高くなっていました。2022年の安値と比べると、今の株価は下げた後でも約16倍です。

ただし、今回は下げの理由が違います。ディープシークは技術の話でした。今回は、政治と電力とお金の話です。

エヌビディアの事業は変わったのか?

8月に出た5月から7月の決算で、売上は962億ドル、前の年の約2倍でした。次の3か月は1,080億ドルを見込み、来年度の売上は約7割伸びる見通しです。しかも、つくれる量が足りない前提での数字です。大手IT企業5社の設備投資は、今年8,000億ドル近く、来年は1兆3,000億ドルに増えるとエヌビディアは見ています。

ここで僕が大事だと思うのは1つです。供給が足りないことは、バブルでないことの証明にはなりません。需要が続くかどうかは、データセンターが建ち続けるかで決まります。

5年後・10年後のエヌビディア

AIのお金は、電力とデータセンターから、半導体、クラウド、モデル、アプリへと8つの層を流れます。今回揺れたのはいちばん下の電力とデータセンターの層で、エヌビディアはそのすぐ上の半導体の層にいます。

僕は、5年後・10年後もAIの計算の中心はエヌビディアだと見ています。買い手が、アメリカの大手IT企業だけではなくなったからです。大事なデータを国の外に出したくない国が、自分の国の中にAIの設備を持つ「ソブリンAI」の動きが進んでいます。1つの州が建設を止めても、データセンターは建てられる州や国へ移っていきます。

見ておきたい物差しは3つです。データセンターの建設の許可と電力が、どの州と国で進むか? エヌビディアの売上のうち、大手IT企業以外の買い手の割合が伸びるか? 借金で建てる会社に、お金が回り続けるか?

強気の見方と弱気の見方

強気の人たちは、売られたのは会社の数字ではなく空気だと見ています。来年度もつくれる量が足りないほどの注文があり、過去の大きな下げのあとも事業は伸び続けた。国が買う分は、アメリカの選挙に左右されにくい、という見方です。

弱気の人たちは、データセンターが建てられなければチップの注文はいずれ減り、借金で建てる会社が苦しくなれば買い手が細ると見ています。電力が足りず、建てても動かせないデータセンターが増える心配もあります。2000年のITバブルのシスコのように、事業が伸びても株価が戻らないこともあります。

強気の見立てが崩れるのは、テキサスのような大きな州で建設が実際に長く止まったとき、次の決算でその先の見通しが伸びを失ったとき、借金で建てる会社がお金を借りられなくなったときです。

まとめ

今回売られたのはAIの需要ではなく、データセンターを建てる場所とお金への不安です。だから次に見るのは、株価の下げ幅ではなく、データセンターが建ち続けるかどうかです。

動画では、過去の暴落との比べ方や、10年を見る3つの物差しを、僕の言葉でさらに詳しくお話ししています。あわせて見ていただくと、より深く分かると思います。

AIに最初に渡す「判断基準シート」を、LINEで無料でお渡ししています。

LINEで受け取る

BLOG

孔明の話 新しい記事

記事をすべて見る →

上部へスクロール