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AIで仕事を変える2026年10月28日

作り手の91%が楽観するClaude。用途別の製品を選ぶ前の3つの問い

「社員の91%が楽観」という話題を、どう受け取ればいいのか?

X で、Anthropic(Claude を作っている会社)の社内の話が広く読まれています。社員約1,300人を対象にした調査で、91%が「この先数年のうちに、AIがノーベル賞級の発見をできる」と答えた、という紹介です。

同じころ、社員の一人が、製品ごとに意見を受け付ける担当者の一覧を公開しました。Claude Code、Chat/Cowork、Duet、Tag、API/Platform。名前が並ぶだけで、Claude がもう「ひとつのチャット画面」ではないことが伝わってきます。主要メンバーの退社も話題になっていて、明るい話ばかりでもありません。

この話題を見て、気持ちが二つに割れた方もいるはずです。作り手自身がここまで本気なら、自分も急いで乗らないと置いていかれる気がする。一方で、製品の名前が増えるほど、どれから触ればいいのか分からなくなる、、という気持ちです。

僕はエンジニア経験ゼロから、自分で設計図を書いて、48時間でAI経営本部を組み上げました。その立場から見ると、この話題でいちばん大事なのは「91%」という数字の大きさではありません。製品が用途ごとに分かれてきた、という事実のほうです。

理由は単純です。用途ごとに分かれたということは、「自分の仕事がどの用途に当たるのか」を先に決めないと、どれを選んでも中途半端に終わるからです。会話で済む仕事に、ファイルを直接扱う道具を持ち込んでも、使いこなせずに疲れるだけです。逆に、毎日同じ手順を回したい仕事を、会話の画面で毎回一から頼んでいたら、手間はほとんど減りません。

評判に乗るか、様子を見るか?その前に、自分の現在地を数えておく。この記事では、その確かめ方と、今日そのまま試せる頼み方を1つお渡しします。

製品の違いは「AIにどこまで任せるか」の違いです

講義では、AIの活用をレベル1〜5に分けて話しています。レベル1は「聞く」、レベル2は「一緒に作る」。レベル3は「任せる」、レベル4は「連携させる」、レベル5は「自律させる」です。

この中で、いちばん大きな段差はレベル2と3の間にあります。レベル2までは、AIが出した答えを人が毎回読んで、使うかどうかを決めます。レベル3からは、人が見ていないところでAIが手を動かします。ここで求められるものが、がらりと変わるのです。

今回の話題に重ねると、整理しやすくなります。会話の画面で質問し、文章を一緒に練る使い方は、レベル1・2に当たります。パソコンの中のファイルを扱わせる使い方は、レベル3の「任せる」です。そして、いくつもの作業をつないだり、人が指示しなくても動き続けたりする使い方が、レベル4・5に近づきます。製品の名前を覚えるより、「この製品は、どの段の仕事のためのものか?」と考えたほうが、ずっと迷いにくくなります。

では、段差を越える力は何なのか?道具の知識ではありません。「言語化の力」、つまり狙ったとおりの文章を書く力です。任せるということは、自分がその場にいないということです。書かなかったことは、AIが推測で埋めます。だから、任せる段に上がるほど、頼み方の文章がそのまま仕事の質になります。

もう一つ、講義で話しているのが、レベル3から4への壁です。ここは「個人の効率化」から「組織設計」への切り替えになります。自分ひとりが楽になる使い方から、仕事の流れそのものをAIと人で分け直す段に移るわけです。

AIに渡すものは3段で考えます。まず目的・価値観・判断の基準。次に、その仕事や商売の前提。最後に、うまくいった手順を書いた手順書です。この3段を言葉にしておけば、どの製品を選んでも土台は変わりません。作り手の会社でも人は入れ替わりますし、製品の顔ぶれも変わっていきます。使う側が持っておくべきなのは、特定の製品名ではなく、この3段の言葉です。

今日そのまま試せる、現在地の確かめ方と最初の一手

手順は2つです。

【手順1】自分の段を3つの問いで確かめる
講義では5問で確かめていますが、ここでは入口の3つに絞ります。上から順に、はい・いいえで答えてください。

・AIに質問したことがある
・複数のAIを使い分けている
・自動で実行させているタスクがある

「はい」が続いた最後の問いが、いまの現在地です。そのうえで、次に越える壁を1つだけ決めます。2つ目で止まった方なら、次の壁は「任せる」です。一度に上の段まで狙わないことが、続けるコツになります。

【手順2】消えても困らないフォルダで「任せる」を試す
レベル3の最初の一歩は、ファイル名の統一がちょうどいい練習になります。いきなり大事な書類で試してはいけません。中身が消えても困らない、1つのフォルダを選んでください。昔のメモや、ダウンロードしたままの資料が入ったフォルダが向いています。

そのうえで、ファイルを扱えるAIに、次の文をそのまま渡します。

――――――
このフォルダの中のファイル名を、「日付_取引先名_書類の種類」の形にそろえてください。
進め方の決まり:
1. 実行する前に、変更前と変更後の対照表を作成して見せてください。
2. こちらが「実行してよい」と返すまで、ファイル名は変えないでください。
3. 不要に見えるファイルがあっても削除せず、「保留」というフォルダに移動してください。
――――――

要は「変更前後の対照表を作成してから実行してください」の一文です。講義の第1回で話している頼み方です。表が出てきたら、全部を読み込む必要はありません。気になる行だけ直してから「実行してよい」と返します。こうすれば、元の名前を失わずに済みます。

3つ目の「削除せず移動」も外さないでください。AIが「要らない」と判断したものを、人があとで確かめられるようにするための一行です。

ファイルを扱える道具がまだ手元にない方は、会話の画面にファイル名の一覧を貼り、対照表だけ作ってもらうところから始めても構いません。それだけでも、「任せる前に確かめる」流れが体に入ります。

僕なら、製品の名前より先に「任せる範囲」を決めます

ここまでの話をまとめます。作り手の91%が楽観している、という数字は、話題としては面白いものです。ただ、自分の仕事が変わるかどうかとは、別の問題です。仕事を変えるのは、自分の業務がどの段に当たるかを決め、その段に合った道具で、任せる範囲を少しずつ広げることです。

製品が用途ごとに分かれたのは、使う側にとっては、むしろ追い風だと僕は考えています。会話用、ファイルを扱う用、動き続ける用。役割が分かれたぶん、「自分はいま、どの段の仕事をしたいのか?」を決めさえすれば、選ぶ道具は自然に絞られるからです。

とはいえ、気をつけたい点もあります。

・新しい製品名を見るたびに、全部を試そうとしない
・上の段の道具を、下の段の使い方のまま触らない
・人が見ていない作業ほど、頼み方の文章を丁寧に書く

主要メンバーの退社が話題になったように、作り手の側も変わり続けます。だからこそ、使う側の土台は、自分の判断の基準と仕事の前提、うまくいった手順を言葉にしたものに置いておきたいのです。そこさえあれば、製品が入れ替わっても、渡す中身はそのまま持っていけます。

僕は4つの事業を回しながら、マレーシア・ハワイ・韓国を行き来しています。そんな僕でも、新しい道具が出るたびに飛びつくことはしません。まず、どの仕事をどの段で任せたいのかを決めます。道具選びはその後です。

新しい製品は、値段も機能もこれからまだ変わっていくはずです。その差に見合うかどうかは、結局、自分の用途しだいです。あなたの仕事でいちばん手間のかかっている作業は、会話で足りる仕事でしょうか? それとも、任せる段に上げたい仕事でしょうか?

僕なら、今日は3つの問いで自分の段を確かめ、消えても困らないフォルダを1つ選んで、対照表を先に出させる頼み方を一度だけ試します。製品の名前を追いかけるのは、そのあとで十分です。

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