お知らせ説明会を兼ねたセミナーの収録動画を、お届けしています▶ 収録動画を受け取る
AIで仕事を変える2026年10月18日

Gemini 4 Argonと今のAI、同じ仕事を1時間で比べる手順

マインクラフトを27時間で。あのニュースを見て最初に考えること

GoogleのGemini 4 Argonを使ったAIのエージェント(人の代わりに作業を進めるAI)4体が、人の手を借りずにマインクラフトを最初から27時間でクリアした。そんな報告がXで広がっています。書いたプログラムは2,700本以上。4体はチャットで役割を分け、ミスが出たら一緒に直したそうです。

ほかにも、3Dソフトで寺の塔を細かく作り込んだ例や、作ったアプリをそのまま公開する例が並んでいます。Proの利用者も使えるようになったとされています。大きな数字の実験と、個人が実際に作ったものの映像がそろっているので、性能の高さが目で見てわかる。受けている理由はそこにあります。

ただ、ここで立ち止まる経営者は多いはずです。「すごいのはわかった。では、うちの仕事でも今のAIより役に立つのか?」。乗り換えるべきか、両方にお金を払うべきか、それとも様子を見るべきか?新しいAIのニュースが出るたびに迷うのは、よくあることです。

迷いが長引く理由は、比べ方が決まっていないことにあります。ゲームを27時間で終えた話と、自社の図面の説明や手順書づくりは、まったく別の仕事です。他人の実験の結果をいくら読んでも、自社の作業に合うかどうかの答えは出てきません。

それでも、今は比べるのにちょうどよい時期です。話題になっている間は、自分で触ってみようという気持ちも高まっています。この記事では、いま使っているAIとGeminiに同じ仕事を頼み、自社の作業にどちらが合うかを1時間で確かめる手順をお渡しします。判断の軸には、僕の講座『レベルファイブAI経営マスタリー』の第1回で話している考え方を使います。

性能の差を見る前に、自分がいる「段」を確かめる

講座では、AIの使い方をレベル1〜5に分けています。レベル1・2は、AIに聞く、AIと一緒に作る段階です。レベル3〜5は、AIに任せる、AI同士を連携させる、AIに自律して動いてもらう段階。この2つの間には、大きな段差があります。

第1回の講義では、自分の現在地を問いで確かめてもらいます。「AIに質問したことがある」「複数のAIを使い分けている」「自動で動いている作業がある」。順に自分に聞いていき、「はい」が続いた最後のところが今いる段です。そこから、次に越える壁を1つだけ決めます。

今回のマインクラフトの話を、この物差しで見てみます。4体のAIが役割を分け、ミスを一緒に直しながら27時間進み続けた。これはレベル4〜5の姿です。講義では、レベル3から4への壁を「個人の効率化」から「組織設計」への転換と呼んでいます。1人の作業を速くする段階から、誰に何を任せ、どうつなぐかを設計する段階へ移る、という意味です。

つまり、あのニュースが見せているのは「AIの頭の良さ」だけではありません。役割を分けて任せる設計があったからこそ、27時間も人の手なしで進めたわけです。自分がまだレベル1・2にいるなら、いきなり同じことを目指しても空回りします。

では、なぜ同じ仕事で2つのAIを比べるのか? 段差を越える根っこは、道具の知識ではなく「言語化の力」、つまり狙った文章を書く力だからです。同じ指示文を2つのAIに渡すと、AIの差が見えます。同時に、どちらのAIも同じところで間違えたなら、それは自分の指示文に足りないところがある、という合図になります。

もう1つ、安心材料があります。うまくいった手順を書いた手順書(スキル)は、Claude・Codex・Geminiの3社で同じように使えます。比べることは、どちらかに縛られる決断ではありません。エンジニア経験ゼロの僕が48時間でAI経営本部を組み上げられたのも、道具より先に、任せる中身を言葉にしたからです。

今日そのまま試せる、1時間の比べ方

用意するのは、いま使っているAIとGemini、そして自社の仕事の題材1つだけです。

1. 題材を1つ選ぶ(10分)
図面の説明、作業メモ、手順書のもとになるメモなど、ふだん人が手間をかけている仕事を1つ選びます。最初は、うまくいかなくても困らないものにします。

2. 同じ指示文を、両方のAIに貼る(15分)
一字一句同じ文を渡すのが、比べるときの肝です。次の〔〕だけ書き換えてください。

「あなたは〔業種〕の会社の業務担当です。次の〔図面の説明文/作業メモ〕をもとに、新人が1人で進められる手順書を作ってください。条件は4つです。番号付きの手順にすること。各手順に、終わったと判断できる目安を1行添えること。専門用語は初めて出たところで言い換えること。わからない点は推測で埋めず、最後に『確認したい点』としてまとめること。〔ここに素材を貼る〕」

3. 3つの点で採点する(20分)
出てきた2つの答えを、それぞれ5点満点でつけます。
・正確さ:自社の言葉や数字を取り違えていないか?
・直す手間:そのまま使えるまでに、何か所直したか?
・次も頼めるか:同じ品質で、来週も任せられそうか?
「確認したい点」をきちんと挙げてきたほうは、任せる段に進みやすいAIです。

4. 任せる仕事でも試す(15分)
聞く・作るだけでなく、任せる仕事も1つ比べます。おすすめはファイル名の整理です。第1回の講義で伝えている一文を、そのまま足します。

「このフォルダの中のファイル名を『日付_取引先_書類の種類』の形にそろえてください。変更前後の対照表を作成してから実行してください。実行は、僕が表を確認して『進めて』と伝えてからにしてください。不要に見えるファイルも削除せず、『確認待ち』フォルダへ移動してください。」

対照表を見て、気になる行だけ直してから実行すれば、元の名前を失いません。使うフォルダは、消えても困らないものから始めてください。

乗り換えるかどうかは、自社の1時間で決める

Gemini 4 Argonの報告は、AIが役割を分けて長い仕事をやり遂げられる段に来たことを、目に見える形で示しました。27時間、2,700本以上のプログラム、寺の塔、公開されたアプリ。どれも心が動く話です。

ただ、それは他人の実験の答えです。自社の図面の説明や手順書づくりでどちらが合うかは、自社の題材で比べた1時間からしか出てきません。乗り換えるか、両方を使い分けるか、今のままでいくか?その答えは、ニュースの数字ではなく、手元の採点表の数字で決まります。

比べ終わったら、もう一度、第1回の問いに戻ってみてください。「複数のAIを使い分けている」に、はいと答えられるようになったなら、それだけで一段上がっています。次の壁は「自動で動いている作業がある」です。ファイル名の整理のように、対照表で確かめてから任せられる仕事を1つ持てば、レベル3の入口に立てます。その先に、役割を分けて任せる「組織設計」があります。

僕なら、話題の大きさに合わせて大きな仕事から試すことはしません。いちばん地味で、毎週必ず誰かが手を動かしている仕事を1つ選び、同じ指示文で2つのAIに頼みます。点数が高かったほうに、その仕事を任せる。点数が並んだら、今のAIを使い続けながら、もう1つの仕事でもう一度比べます。

そして、比べた結果は点数と一緒に書き残しておきます。次に新しいAIの話題が出たとき、同じ題材と同じ指示文で、また1時間で比べられるからです。こうしておけば、ニュースのたびに迷う時間が、そのまま自社の判断の材料に変わります。

AIは、使うものではなく、育てるもの。比べる1時間は、AIを選ぶ時間であると同時に、自分の指示文を育てる時間でもあります。僕なら、今日の午後の1時間を、その小さな比べっこに使います。

AIに最初に渡す「判断基準シート」を、LINEで無料でお渡ししています。

LINEで受け取る

BLOG

孔明の話 新しい記事

記事をすべて見る →

上部へスクロール