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YouTube解説2026年10月29日

Google(グーグル)はAIで負けたのか? 2月に世界一、7か月最上位モデルなし、ついにGemini 4。決算で見えた答えと5年後・10年後 アメリカ・ハワイから

今年の2月、Googleは世界で一番賢いと評価されるAIを持っていました。それなのに、なぜ「GoogleはAIで負けた」と言われたのでしょうか? Gemini 4の発表と10月28日の決算を材料に、5年後・10年後のGoogle(親会社アルファベット)を考えます。

この記事の結論

結論を先に3つお伝えします。1つ目。遅れの原因は、コーディング、半導体、人の3つが重なったことです。1つだけなら、負けなかったはずです。

2つ目。Gemini 4で追いつき、7月から9月の決算ではクラウドも検索も伸びました。

3つ目。それでも僕は、10年後もGoogleは勝ち残る側だと見ています。覚えておいてほしい数字は「7か月」です。

2月の世界一から、7か月の空白

2月19日、GoogleはGemini 3.1 Proを出し、アメリカの調査会社のAIの賢さを比べる指標で1位になりました。5月の開発者会議では、次の最上位モデルも予告しています。

ところが、6月になっても7月になっても出てきません。7月には、社内の目標に届かず遅れていると報じられました。足りなかったのは、AIにプログラムを書かせる力、コーディングです。その間に、アンソロピックとOpenAIは何度も新しいモデルを出しました。

遅れた3つの理由:コーディング、半導体、人

1つ目はコーディングです。企業がAIにいちばんお金を払っているのが、プログラムを書かせる仕事です。良いプログラムを書けるAIは、次のAIづくりも速くします。Googleの力は仮想の世界や動画のAIに向いていたと指摘されています。Googleが信じた最先端と、市場が選んだ最先端がずれていたのです。

2つ目は半導体です。GoogleはTPUというAI用の半導体を自分でつくり、それを競争相手にも貸すようになりました。去年10月、アンソロピックは最大100万個のTPUを使う契約を発表し、今年5月には5年で約2,000億ドルを使う約束も報じられました。ゴールドラッシュでつるはしを売る側に回ったわけです。商売としては大成功ですが、そのつるはしで競争相手が速く掘っていました。

3つ目は人です。6月にGemini共同責任者のノーム・シャジーア氏がOpenAIへ、翌日にはノーベル賞のジョン・ジャンパー氏がアンソロピックへ移りました。8月には、27年いた主任科学者ジェフ・ディーン氏の退社が報じられ、同じ日にデミス・ハサビス氏がディープマインドの日々の経営から退いています。言葉はいくらでも飾れますが、人がどこへ行くかは飾れません。僕は、人の動きを決算と同じくらい重く見ています。

それでも利用者は月10億人

では、Googleは本当に負けたのでしょうか? Geminiのアプリを使う人は、8月に月10億人を超えました。去年の5月は約4億人です。アップルも1月、次のSiriなどの土台をGeminiで作ると発表しました。これがGoogleの配る力です。

ただ、配る力は「使われる理由」にはなっても、企業や開発者に「選ばれる理由」にはなりません。ここは分けて見ておきたいところです。

実はGoogleは、前にも同じ場所にいました。ChatGPTが出たあと、急いだBardは発表で答えを間違え、1日で約1,000億ドルの時価総額が消えました。うまくいったのは、2年かけた3回目です。焦ると失敗し、時間をかけると勝つ。これがGoogleの型です。

なぜGoogleは急げないのか?

答えは、お金の稼ぎ方にあります。7月から9月の売上は1,276億ドルで、そのうち約50%が検索、広告を全部合わせると約64%です。検索は広告がクリックされて稼ぎます。AIが答えを出してしまえば、クリックは減るかもしれません。

アンソロピックやOpenAIにとって、良いAIは良いことだけです。Googleにとっては、本業とのてんびんになります。2007年に世界のスマホの約半分を売っていたノキアが、その6年後に携帯の事業を手放したことも、頭に置いておきたい事実です。

Gemini 4と10月28日の決算で見えた答え

9月30日、Gemini 4 Argonが発表され、10月13日から有料の利用者が使い始めました。人が選ぶ対決の順位では1位と報じられた一方、総合の指標の首位はアンソロピックのままと報じられています。追いついた。でも、首位を取り戻したとまでは言えません。

決算では、クラウドの売上が307億ドルで前の年より103%増、営業利益は111億ドルで3.1倍、これから売上になる受注残は5,610億ドルでした。TPUを貸す商売は、数字の上では成功です。検索の売上も12%伸び、AIの答えはまだ広告を削っていません。

ただ、お金の出口も大きくなっています。3か月の設備投資は514億ドルで、来年はさらに大きく増やすとしています。

5年後・10年後、Googleは勝ち残るか?

AIのお金は、電力から半導体、クラウド、モデル、アプリへと8つの層を流れます。Googleは、そのうち6つの層を自分で持つ、最も縦に長い会社です。TPU、クラウド、Gemini、そして検索やYouTubeという入口です。僕は、10年後の最大の勝者は入口を持ち、下の層まで縦に持つ会社だと見ていて、Googleはその一番の候補です。検索の会社から、AI時代の公共のインフラへ。10年後のGoogleを、僕はそう描いています。

強気の材料は、クラウドの103%成長と5,610億ドルの受注残、月10億人の利用者、自前の半導体です。バークシャー・ハサウェイも4月から6月に保有株を約1.8倍にしました。

弱気の材料は、作り手の流出、コーディングでまだ先頭に立てていないこと、AIが検索の広告を食う恐れ、入口そのものが争点の独占禁止法の裁判です。7月から9月の手元の現金は約91億ドルの流出で、6月には株を新しく出して最大847.5億ドルを集めると発表しています。

見立てが崩れるのは、最上位モデルの間隔が長く開き続けるとき、検索の伸びが2四半期続けて1桁に落ちたとき、人の流出が止まらないときです。縦に長いことと、速いことは違う。7か月の空白がそれを見せました。

まとめ

GoogleはAIで負けたのか? 僕の答えは、負けていない、です。ただ7か月の空白は、縦に長い会社でも遅れることを見せました。

Googleは順位ではなく、コーディング、半導体、人の3つで見ることです。そして決算のたびに見るのは、クラウドと検索の伸びです。

ハワイで感じたGoogleの検索の変化や、なぜ人の動きを決算と同じくらい重く見るのかは、動画でお話ししています。あわせて見ていただくと、より深く分かると思います。

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